野分の受難
2015/06/08
今朝、大事件が起こりました。
AM 7:30-
「ツマさん、野分が!!!!!」
朝、のんびりお風呂に入っていると、オットが駆け込んできました。
尋常な雰囲気じゃありません。
結婚して約1年。
聞いたことのない声音。
「えっ、なに、どうしたの!?」
バスタブの中で硬直気味になるツマ。
真っ白な顔のオット。
「野分が死んじゃった!!!!!」
目が開いてない。
息をしていない。
手も足も動かない。
事情を聞くと、そういう状態らしいのです。
「俺が昨日、カメ小屋で用事しようと思って、中にいた野分をカメ小屋の外に出したんだよ。でも、いつも夕方になったら勝手にカメ小屋に戻ってるから、昨日の夜はカメ小屋に戻ってるのを確認しなかったんだよ」
「なにやってんだ、俺!」
「ちくしょう!」
お風呂から飛び出していって、野分を抱えて戻ってきたかと思えば、自分を責めまくるオット。
それ言ったら、あたしだって同罪だ。
昨日の夜、あたしだって、野分たちがカメ小屋に戻ってるのを確認しなかったんだから。
日が落ちて寒くなったら、暖房&加湿器完備のカメ小屋に自分で戻るだろう。
…そう思ってました。
でも、人って、派手にパニックを起こしている人を見ると、妙に冷静になれるものらしく。
自分の心臓バクバク言ってるのを聞きながら、あたしは考えていました。
…でも、ゾウガメって強いんでしょ?
…埼玉より北の地域で屋外飼育してる人いっぱいいるよね?
…こないだオットに連れられてカメ屋さんに行ったときに、晴れの日も雪の日も、水も与えられずシェルターも与えられず、農家の庭に放し飼いにされているケヅメリクガメの話を聞いた。砂漠に暮らすケヅメリクガメでさえ雪に耐えられるのに、ゾウガメは初冬も越せないの?
…あれ、そういえばカメには冬眠するコもいるんでしょ?
…薄目開いてるけど、冬眠って可能性ない?
「オット、お湯かけてみたら。お風呂入れてあげて!」
そっこうバスタブから出て、オットに温浴を提案。
即座にツマと入れ替わりに、バスタブにつけられる野分。
同棲したばかりの頃、キッチンのシンクに温浴後のお湯を流すのはギリギリ許すけど、バスタブにカメを入れるのだけは絶対にやめて!って言った記憶があるけど、そんなのすっかり忘れていました。
今できることがあるならなんでもしなきゃ!
とにかく早く!
そんな気持ちでした。
野分の顔がお湯に浸かってしまわないように支えながら、無言で野分を見守るオット。
ババッと身体だけ拭いて、オットと一緒に野分を見守るツマ。
動かない野分。
野分の重さもたいしたものなので、途中で支えてられなくなって、バスタブのお湯を抜いてシャワーを浴びせる作戦に変更。
どれくらいの時間がたったかわからないけど、やっぱりダメなのかなぁと思い始めた頃。
「あっ、今…」
「えっ…?」
「あっ、動いたかも。頭…!」
野分の頭に穴が開きそうなくらい、野分の頭を凝視していると…確かに、動いてる!!!
「野分~~~っ!!!」
こういうとき。
意外と神様ありがとう、なんて思わないもんですね。
ただひたすら、アルダブラゾウガメが持って生まれた身体の強さに感謝しました。
よかったね、野分、よかったね!!!
張り詰めていた気持ちが緩んで、ツマ笑いながら号泣。
それと同時に、急にぬれた髪の冷たさにブルッときて、いそいそドライヤーを当て始める自分が、なんだか猛烈に間抜けな気がしましたが。そんなことどうでもいいくらい、野分の無事が嬉しくて嬉しくて。野分にシャワーを当てるオットの背中を眺めていました。
その後は、野分をリビングのファンヒーターの前へ。
ここでようやく写真を撮ることに思い至りました。
こちらが、生き返った野分です。
しばらくはまだ身体が固まっていた野分でしたが…
ちょっとずつ。
ちょっとずつ。
エサを食べはしませんが、首が伸びていきます。
こうやって見ると、なんだかとってもキレイな顔をしています。
って、まるで「リクガメ大好き!」な人みたいな感じ方してる自分に、複雑な気持ちになりますが…。
なんだろう。
たぶん、爬虫類とか、リクガメとか、それ以前に家族なんだろうね。
そんな存在になっていたんだろうね。
あったまってきたら、強制的に方向転換。
甲羅の反対側をファンヒーターに当てます。
されるがままの野分。
しばらくすると、エサをペロリとたいらげました。
リクガメがゴハンを食べている様子を見るのはわりと好きですが、ゴハンを食べるってだけのことに、こんなに喜びを覚えたのは生まれて初めてかも。
AM 9:30-
用意してあげたおかわりを蹴散らして、
リビングをうろうろ。
オットのワンダーコアまで蹴散らす始末。
そして、テラスを眺め始める野分。
ドアを少し開けてあげると、身を乗り出す野分。
さっき自分が凍え死にそうになっていたこと、わかってるんでしょうか。
どんなに風が冷たくても、太陽の光が当たるテラスが好きなんでしょうか。
昔、オットが、アルダブラゾウガメを「太陽の子」って言ってたのを思い出します。
「野分、外行きたいの?」
野分は反応しなかったけど、レンガタイルで階段を作って、自分で行きたい場所を選ばせて、行かせることにしました。
ここで気づいた。
「しまった、上り階段しか用意してない!!!」
ズリッ、と腹甲で滑り落ちる野分。
ちょっとおしりの甲羅が引っかかるも、無事着地。
人間の心配なんかものともせず、ものすごい生命力を見せながら前進する野分の姿に、なんだか励まされているような気持ちになりました。
今回のことは、完全に飼い主の管理ミス。
今回はたまたま助かっただけ。
深く深く反省して、飼い方を見直したら、明日からまだ、あなたたちを飼っていていいのかな。
声の出ない生き物だし、犬のようなわかりやすい表情もないから、もっともっとよく見ていてあげないとね。
こんなむずかしい、不思議な生き物を飼っているオットに、呆れる気持ち半分。
一緒に向き合いたい気持ち半分です。
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Comment
ヒヤっとする瞬間てありますよね。
私は脱走された時本当に心ここにあらずって感じで。。。慌てました。(>_<)
ワンちゃんのように声は出さないから、気にかけてやらなくてはいけない部分て多いですよね。
けど相手の気持ちや状態はどんなだろうって思っている時間も長いから、本当に家族って感じがしますね。リクガメを飼った事のない人にはなかなか分かってもらえませんけどね。(笑)
コメントありがとうございます☆
ほんと、あのときオットがいなかったら…と思うとゾッとします。脱走なんかされたら、もうすごい形相で探し回ることになるんでしょうね。見つかってよかったですね!!
最初「リクガメなんて動く岩」程度にしか思っていなかったのに、まさかこんなに振り回されることになるとは…タイヘンな家族を持ってしまいました(笑)