ゴハンを引き寄せる男、オット

最近、カメたちのゴハンは、とーっても新鮮な山東菜（さんとうさい）です。

その新鮮さのヒミツは…。

先日、いつものように近所をドライブしていたときのこと。

オットが「あっ！！！」と言って急ハンドルを切りました。

「うわっ、何事！？」

「いいもの見つけたかもしれない！！」

「いいもの？」

「いいもの！」

なんだろうと思って、車窓の風景を見回してみましたが、オットが何を見つけたのかまったくわかりません。

オットは細い横道にそれ、車を停めると飛び出していきました。

「えっ、ちょっと…ここどこ？」

車を出てみると、そこは道路脇に広がっていた農地の片隅にある、農作物の即売所。

このあたりには趣味や本職で農業をしている方が多く、民家の間にポツポツと畑やビニールハウスがあります。中には、農地の片隅に即売所を設けている農家さんもいて、採れたての野菜が売られているのですが…。

「なにか安い野菜でもあったのかなぁ…」

でも車からでは、即売所の中で売られているものは見えないはずです。

果たしてオットは何を見つけたのでしょう。

車の中で待つこと数分。

戻ってきたオットは、満足げな顔で、なにやらはちきれんばかりにふくらんだゴミ袋を肩に担いでいました。

その中身は、なんと大量の野菜！

「そんなにたくさん買ったの！？　そんなに安かったの！？」

「いや。捨てるならくださいって頼んで、もらってきた！」

「えっ。どういうこと！？」

いつものことですが、オットの説明ってやつは、十中八九、説明になっていません。

詳しく聞いてみたところ、運転中のオットが見つけたのは、即売所の裏に山積みにされていた、廃棄予定の野菜。それをゆずってもらえないかと即売所の方にお願いしたところ「好きなだけどうぞ」と言っていただいたというのです。

見ると、オットの向こう、即売所の入口に立って、笑顔でこちらを見ているご夫婦の姿が。

即売所を営んでいる農家さんのようです。

あわてて、わたしもペコリとごあいさつ。

リクガメを飼っていて、いつも頭を悩まされるのが、食糧事情。

野草が採れる夏場は、そこまで悩むこともありません。でも、野草が枯れ果てる冬場は、野草は採れないわ、葉物野菜はお高くなるわでたいへん。

オットはあちこちのスーパーでお値段をチェックして、リーズナブルなところで大量買いしていますが、それでもお財布への打撃は避けられません。

そこに追い討ちをかけるように、最近、アルダブラゾウガメのこころ＆野分の甲羅にはくっきり成長線が。

すくすく成長してくれているのは、とってもよろこばしいことですが、将来必要になるゴハンの量を考えると恐ろしいものがあります。

スーパーの野菜売り場で捨てられている外葉をいただけないか聞いてみても、最近は衛生上の問題からか、譲っていただけないことが多く。何か食料を調達するいい方法はないか。契約農家さんか、野菜の産廃業者を探すしかないのか、と考えていた矢先のことでした。

この日をきっかけに、そこの農家さんと仲良くなったオット。

先日なんと、農家さんの畑に案内され、こぼれ種から育ってしまった季節はずれの山東菜を、好きなだけ自分で採ってもっていっていいと言ってもらったそうなのです。

おそるべし、オットの行動力＆コミュニケーション能力＆引き寄せる能力！

先日、収穫作業についていきました。

わたしが、車の中で息子をみている間に、

オットはすっかり慣れた手つきで山東菜を採っていきます。

帰宅したらすぐゴハン。

産地直送の山東菜に、みんな夢中です。

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